用意する材料
夏ミカン1kg(中型3個ほど)の場合だと、精白砂糖を300g。
砂糖は一般的な量だと1〜0.5kgですが、それよりずっと少量しか使いません。
1キロの夏ミカンと300gの砂糖で600gジャム瓶1個にちょうどくらいになるでしょう。

用意する道具
直系30cmほどのステンレスボウル2個 ないし同等のステンレス鍋かホーロー鍋。
33cmボウルだと夏ミカン3キロ(中型10個ほど)を一度にマーマレードにできます。
直径25cmほどの目の細かいステンレスザル1個。
(アルミ、鉄、銅は腐食するので不可です)

できればプレス式の絞り器、煮るわけではないので絞り器はアルミ製で大丈夫です。
少量なら手でむぎゅーっと絞ればいいです、完全に搾りきれなくてもかまいません。


製造開始・・2日かかります(^^;

ボウルで湯を沸騰させ、夏ミカンをまるごとまんべんなく5分煮沸します。
表面の精油成分が抜けて湯が緑色になります。
夏ミカンをとりだして水で軽く冷やし、台所用洗剤で汚れをよく落とします。
無農薬無ワックスでも町中の夏ミカンだと排気ガスで汚れていますから、スポンジでゴシゴシこすって洗います。

夏ミカンを横に2つ割にします。



夏ミカンが温かいうちに実を取り出します。
皮と実の間に指を入れて皮と実を分離させ、皮を裏返すようにして実をぐるぐるとひねれば簡単に取り出すことができます。



ジュースを搾って冷蔵庫で保存しておきます。



種は取り除いてください。種が混じると苦味が強くなる場合があります。



次ぎにペクチン液を作ります(これがとろみになる繊維質成分です)。
搾りかすを指で押すと種が出てきますから、種は捨てます。

搾りかすを適当に引きちぎってステンボールに入れ、水をたっぷりいれて中火で煮ます。
ときどきかき回して袋がバラバラになってどろどろになるまで煮ます。
3時間程度はグツグツと煮込みます。アクが浮いたらスプーンでとります。

ボウルに2/3くらいの水量を保つようにときどき水を補充しながら煮てください。

この間に皮を千切りにします。



半割の皮を半分に切ってヘタの周辺を切り取り、4枚(1個分)をぎゅっと重ねて千切りにします。
丸煮してありますから皮は柔らかくなっていて効率よく重ね切りができます。



皮の両端部分は捨ててください(千切りの長さをそろえます)。
千切りの幅は3ミリ程度がよいでしょう。
包丁さばきによりますが、1個1分で千切りにできます。
良く切れる包丁でやるのが最良、フードプロセッサを使うなどは考えないほうがよろしい。



千切りをステンボウルに水をたっぷりいれて軽くもみ洗いし、水を入れ替えてそのまま一晩水にさらしておきます。
搾りかすの煮出しの方は、どろどろになったところで適当に蓋をしてそのままにしておきます。
第1日目の作業終了。

水さらしでなく、皮を水のままから煮て沸騰させてから水洗いすれば、すぐに煮込みを開始することもできます。
これなら1日で作ることもできますが、水さらしとは微妙に味が変わるように感じます。
皮の渋みを抜くことと皮の香りを残すことは相反しているようで、このあたりは各自の工夫でしょう。


翌日、煮込みを開始します。
千切り皮のボウルの水を捨て、これにステンざるを乗せて搾りかすを煮出した液を搾りかすごとステンざるに流し込みます。
ステンざるに残った搾りかすは土と混ぜればよい肥料になりますが・・処分は任意。

ステンザルでペクチン液を濾すと細かい繊維分が通過するので仕上がりが透明になりません。
透明感がほしい場合はステンザルにガーゼやさらし布などを敷いてゆっくり少しづつ流し込んでください。

以後の作業はTVを見ながらでも本を読みながらでもいいですが、鍋の見える距離にいてください。

中火で加熱し、沸騰したら弱火にして30分ほど煮てから砂糖100gをいれます。
10分ほど煮たら保存しておいたジュースを1/3ほどいれます。
アクが浮いたらスプーンで取ります。

煮汁が半分ほどに減ったら砂糖を100gほど加えてさらに煮込みます。
砂糖を入れると底の部分が焦げ付きやすくなります。
しゃもじでひんぱんにかきまぜてください。

煮汁と皮がひたひた程度に煮詰まってきたら、残りのジュースと砂糖100gをいれて最終煮込みにはいります。
ジュースを最後にいれるのはジュースの酸味をできるだけ飛ばさずに残すためです。

ここから微妙な段階になります。
どのくらい煮詰まったらできあがりかの判断がむずかしいのです。
煮ている最中にとろとろになっていたら煮すぎです、冷えるとかちんかちんになってしまいます。

はじめての場合は、まださらさらだなあと思うくらいのところで、いったん火をとめて冷やして様子をみてください。
冷えると思うよりずっと固まってきます(砂糖の量が多いとこの傾向が強まります)。

煮詰まってくると1分の差が勝負になります。
焦げやすくなっていますからひんぱんにかき回します。
初めての時は何度でも火を止めてかたまり具合をチェックするとよいでしょう。


弱火で長時間かけて煮込むほど皮はやわらかく仕上がりますが、このあたりは好みと腕のみせどころです。
砂糖の量も味見しながら調節するとよいでしょう。

苦みは砂糖を増やしても減らすことはできません。
砂糖は夏ミカン1キロに対して500グラムを越えないほうがいいでしょう、砂糖の味に近づいてしまいます。

さあ、甘さ控えめの酸味と苦みの大人の味のマーマレードのできあがりです。
できてから1週間ほど経過すると味がまるくなってきます。
ジャム瓶に入れて軽く蓋をして煮沸してから蓋をきっちり締めれば内部が真空に近くなって長期保存できます。



色がちょっと濃くなっていますが、焦げ付く寸前といったところ(^^;
(今年はペクチン液が非力で強めに煮詰めました)
香りと味と見かけ、これをどう案配するか、なかなか奥が深そうです。

夏ミカンに含まれる苦みはナリンギンという成分で、毛細血管強化作用や抗ガン作用などがあるそうです。
大人用ですね。
果皮をつぶすとぴちぴちと飛び出す芳香成分はリグニンという成分で、柚湯と同じお風呂用。

生食でちょうど良く完熟した夏ミカンは酸味が少なく、酸味を残そうとすると苦みも残ってしまうようです。
また、完熟した夏みかんではペクチンの量が少なくなって固まりにくくなるとみえます。
すっぱくて食べられない時期の夏みかんがマーマレード用には最良になるとみえます。

うちの場合(東京)ではおおよそ2月下旬〜3月上旬がマーマレード用収穫なのですが、平成17年は暖冬のせいか熟すのが例年より1ヶ月は早く、酸味を残そうとすると苦みも残るという状況になってしまいました。
全体に黄色くなって青い部分がなくなった頃の夏ミカンで作るのが目安のように思います。

4月〜5月頃に甘夏が店頭にでますが、最近はすっぱい夏ミカンが店頭にでることはまずないです。
ご近所の庭木などに夏ミカンを発見したらわけてもらって作ってください。
市販のマーマレードよりはるかにおいしいマーマレードが作れます。