太陽電池の利用では、ある電圧でスイッチをオンオフさせるためにコンパレータと呼ばれる回路を多用しています。
コンパレータにはいろいろな用途がありますが、下図はLM393というICの自動制御としての使用例です。
電源は5v〜36vで任意なので12vシステムでも24vシステムでも使えます。

ただし静電気や半田ごてのリーク電流などに弱いようで、ICソケットの併用が必須です。
なお、組み立て中にいくつも壊しましたが運用中に壊れたことはありません、念のため。

図中の電圧や電流値はごくおおざっぱな参考です。
LM393は同じコンパレータがふたつはいっていますが、ここではひとつだけ使っています。



2番ピンを反転入力(−)、3番ピンを非反転入力(+)といい。2番と3番の電圧の比較をしてその結果で1番と4番(グランド)のスイッチのオンオフを行います。
2番より3番の電圧が高いときに、1番と4番がオン(短絡)になります。
2番より3番の電圧が低いときは、1番と4番はオフ(開放)になります。

2番と3番のどちらを基準電圧として動作させるかによって反転入力と非反転入力のふたつがあります。
自動制御的な使い方では反転入力の方が扱いやすいと思われます。

出力の1番ピンと3番ピンをつなぐ抵抗(図では100kΩ)が重要な働きをしていて、電子回路では「ヒステリシスを与える」といい、自動制御では「ディファレンシャルを与える」といいます。
1番ピンの出力がオンオフした瞬間に、基準電圧あるいは入力電圧に「ずれ」を加えて、敏感にスイッチがオンオフしてしまうことを押さえる働きをしています(チャッタリングを防ぐ)。

ノイズによるチャッタリングを防ぐのであればわずかなヒステリシスでよいので数メガΩの抵抗を使いますが、自動制御では大きな動作幅をもたせるためにもっと小さな抵抗も使います。
(基準電圧あるいは入力に使っている抵抗の10倍から100倍程度)

入力電圧になにを加えるか、オンとオフのずれをどのくらいの幅にするか、1番ピンにどういう制御回路をつなぐか、これらを工夫することでいろいろな制御が可能になります。


下図は回路の電圧がある設定値以上になるとオンになり、ある設定値以下になるとオフになる回路です。



オンオフ型の充電制御や換気扇の自動運転はこの回路がベースになっています。
浴室用換気扇では、快晴で電圧が14vになるとオン、夕方に13vに下がるとオフとして、天気がよい日中だけ自動運転させるようにしています。

比例制御のようにパワーMOSFETが中間状態の動作にはならないのでほとんど発熱せず、大電流用のMOSFETを使えば数十アンペアの電流でもオンオフできます。
(普通のリレーではこのような直流大電流はオンオフできません)

ここでは3番には定電流ダイオードと抵抗で作った基準電圧(3v)を加え、2番には回路電圧を10kの可変抵抗で分圧した電圧を加えています(反転入力です)。

10kの可変抵抗でオンになる電圧を設定します。
2Mの可変抵抗の抵抗値を小さくするほどオンになる電圧とオフになる電圧の差が大きくなります。
交互に調整しながら目的値に追い込む必要があるので普通の可変抵抗器だとこの調整はちょっと面倒で、多回転型のポテンショメータを使うと調整が楽にできます。

この回路の調整には調整用の可変電圧の電源が必須です(この項の最後にその参考回路を示します)。 この電源の電圧を上げたり下げたりしながら、オンオフの電圧設定を行います。
図の発光ダイオードはオンオフを確認するためのものです。




上記とは反対に、電圧が設定値以下だとオンになり、設定値以上だとオフになる回路で、1番ピンにつなぐMOSFETの接続方法が異なっています。

ここではAC100v電源をオンオフさせるために小型のMOSFETでソリッドステートリレーを駆動しています。作例では一般自動車用の蓄電池を用いているのでバックアップ開始を12.05v、停止を12.8vとしてあります。

定電圧電源の出力電圧はバックアップ停止電圧以下に設定しておくのが無難です。
停止電圧以上の設定で蓄電池最寄りにバックアップ回路が設置してある場合だと、電線での電圧降下の状況によってはバックアップ開始と停止がひんぱんに繰り返される場合があります(チャッタリング)。

定電圧電源本体のスイッチを制御するので、待機時の消費電流は数ミリアンペア程度です。




白色LED27個を点灯させている回路図です。
簡易型の自動点滅も組み込んでいます。

定電流ダイオードと可変抵抗(2k)で基準電圧を作り、これでトランジスタをパラ駆動して多数の定電流を作ります。
定電流ダイオードを使う方法だと4vくらいの電圧ロスが生じますが、この回路だと2SC1815のエミッタコレクタ間の飽和電圧0.3v程度と10Ωの0.2vの合計0.5vの電圧ロスのみになり、12vで3個の白色LEDを点灯できます。
電流は11v〜15vで20mAで安定です。電流は減りますが10vでも点灯可能です。

できればトランジスタのベースエミッタ間の順方向電圧のそろったものを使ってください。
これを測るにはテスターのダイオード測定モードで、ベースとエミッタ間のダイオードチェックをします。
0.7v前後になるので、これがおおよそ同じになるトランジスタを選別します。


テスト用定電圧電源の電圧を9vくらいにして、回路につなぎ徐々に電圧を上げながら2kのVRで10Ω両端の電圧が0.2vになるように調節します。
電源をつなぐ前に2kの可変抵抗が図のようにゼロΩ状態に回し切ってあるのを確認してください。
この状態だとLEDに流れる電流はゼロで、その状態からスタートします。
反対方向に回しきってあると大きな電流が流れてLEDやTrを壊す恐れがあります。
LEDが点灯すると発熱で電流が変化するので微調整して20mAに落ち着いたところで終了です。

自動点滅は簡易型なので、LEDの光がCdsに入射しないようにしておきます。

トランジスタをたくさん使いますが、まとめ買いすれば1個10円程度ですから定電流ダイオードよりずっと安く、同じ電力で1.5倍の明るさを得ることができるのでお勧めします。




最近登場したパワーLEDを3個直列で点灯させる回路です。
電流制御するTrが大きくなっているだけで基本回路は同じです。
LED1個あたり5cm角ほどのアルミ板の放熱板が必要で、本機では長さ20cm×5cmのアルミ板にLEDを取り付けてあります。

本機では流す電流が大きく、気温25℃〜37℃で20mAほどの変動が生じるので少し低めの電流に設定しておくのが無難です。
(本回路を上記小型LEDのごとくにパラ接続して多数のパワーLEDを点灯させるのは無理です)




ニッカド電池などを充電するための回路です。
006P型のGP170mA(8.4v)というニッケル水素電池の充電に使っています。
(この回路では5V以下の電池の充電はできません)

抵抗で電流を制限しているだけなので充電電流が変動しますが、充電電流と上限電圧を安全側に設定しておけばニッケル水素でも問題ないと思います。
充電電圧の上限は1セル(1.2v)あたり1.44v以下とします(上記では7セルなので10.08vになります。

基本回路は太陽電池用の比例式の並列型と同じです。
電源スイッチをオフにして電池をつなぐとLEDによる電池の放電回路になります。

充電電流の調整は200Ωの抵抗値の増減でおこないます。
電池に併せて調整してください。
上記電池を4v近くまで放電させて、これを15vで充電すると50mAほど流れますが数秒だけで9vほどに電圧が上昇し、あとはゆっくり充電になります。

上限電圧に達すると電流のバイパスがはじまって赤LEDが点灯します。
じわーっと明るくなってきます。このあたりの切れ味は?ですが明るく点灯したらOKで十分でしょう。

上限電圧が10vなら太陽電池の最大電圧15vのときに、(15−10)/200Ω=25mAがLEDにバイパスされます。
それが40mA以上になるようならLEDを3個並列にしてLEDに過剰電流が流れないようにしてください。



回路の設定電圧を調整するには可変電圧の電源が必須です。
簡単には24v1A程度のACアダプタと3端子レギュレータ(LM350Tなど)を使って作ります。
可変抵抗は中型サイズを使って廻しやすいツマミをつけておきます。

適当な板に端子台をネジ止めしてVRを接着すればその他は空中配線で十分です。
出力部分にはアナログ式の安いテスターを常駐させておくと変化を読みとれるので便利です。
1台作っておけばいろいろな実験に使えます。

上図は比例制御型の回路調整の場合の図で、10Ωの電流制限抵抗を挿入して調整しています。